泌尿器科領域におけるロボット支援手術を行うに当たってのガイドライン
一般社団法人日本泌尿器科学会
一般社団法人日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
2010年4月27日 制定
2012年11月30日 改定
2017年9月6日 改定
2018年8月10日 改訂
2018年12月28日 改定
2020年4月1日 改定
2021年6月4日 改定
2022年3月14日 改定
2022年10月24日 改定
2022年12月23日 改定
2023年7月10日 改定
2024年4月8日 改訂
A. 一般的事項
1)術者条件
- 泌尿器科領域におけるロボット支援手術の術者は日本泌尿器科学会専門医であること。ただし、日本泌尿器科学会専門医取得前であっても、チームとしてロボット支援手術が安全に施行できる施設であれば、20例の第一助手経験があれば当該領域の泌尿器ロボット支援手術プロクターの指導の下、術者として施行することができる。
- 泌尿器科医としての一般的な開腹および腹腔鏡手術の手術手技と周術期管理、合併症の治療法を習得していること。
- 「泌尿器科ロボット支援手術教育プログラム」を修了していること。また、本プログラム修了後も、十分なシミュレーターまたはオンサイトトレーニングを継続すること。
- 各ロボット支援手術を始めるにあたっては各ロボット支援手術の無編集ビデオによる学習を十分に行うこと。
- 前立腺全摘除術以外のロボット支援手術を始めるには、ロボット支援前立腺全摘除術を経験していることが望ましい。
- デュアルコンソール機能下で、2台のコンソールにより手術を行う場合、いずれのコンソール操作者についても手術を執刀する際の条件は本ガイドラインに示す通りであるが、少なくとも1台のコンソール操作は手術支援ロボットに関する手術技能に習熟した医師が担当すること。
- 本邦でプロクターが存在しない新規機種の場合には別途定める新機種導入時の学会認定暫定術者に関する規定に準ずること。
2)施設条件
- ロボット支援手術を施設で初めて行う場合は臨床計画を作成すること。
- 手術計画
- 術者(コンソール側医師)、患者側医師、直接介助看護師のチーム編成
- ロボット支援副腎摘除術、根治的腎摘除術、腎部分切除術、腎尿管全摘除術、腎盂形成術(以上、副腎・腎(尿管)領域)、膀胱全摘除術、前立腺全摘除術(以上、膀胱・前立腺領域)、仙骨膣固定術を独立したチームとして開始する際には、領域ごと(副腎・腎(尿管)プロクター/膀胱・前立腺プロクター/仙骨膣固定術プロクター)・手術支援ロボット機種ごとに認定されたプロクターを招聘すること。
- 副腎摘除術、根治的腎摘除術、腎部分切除術、腎尿管全摘除術、腎盂形成術、膀胱全摘除術、前立腺全摘除術、仙骨腟固定術以外のロボット支援手術を始めるには、術式ごとに施設の倫理委員会の承認を得ること。
- ロボット支援手術を行うときには、術前のInformed Consent Formにロボット支援装置に支障があった場合の対応を記載しておくこと。
B.各術式に関する事項
- ロボット支援腎部分切除術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学と当該機種の副腎・腎(尿管)領域プロクター招聘手術を合わせて3例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- ロボット支援腎盂形成術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学と当該機種の副腎・腎(尿管)領域プロクター招聘手術を合わせて2例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- ロボット支援副腎摘除術・根治的腎摘除術・腎尿管全摘除術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学(ロボット支援副腎摘除術、根治的腎摘除術、腎尿管全摘除術は合算してよい)と当該機種の副腎・腎(尿管)領域プロクター招聘手術を合わせて3例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。ただし、同手術の腹腔鏡手術経験があり5例以上のロボット支援腎部分切除術を経験している場合はこの限りではない。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- ロボット支援前立腺全摘除術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学と当該機種の膀胱・前立腺領域プロクター招聘手術を合わせて5例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- ロボット支援膀胱全摘除術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学と当該機種の膀胱・前立腺領域プロクター招聘手術を合わせて3例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- ロボット支援仙骨腟固定術を独立したチームとして始めるためには、当該機種による同手術の見学と当該機種の仙骨膣固定術プロクター招聘手術を合わせて2例以上経験していること(プロクター招聘手術は1例以上とする)。(手術見学証明書【Word:38KB】【PDF:175KB】は本ウェブサイトよりダウンロードしたものを見学施設で発行すること。)
- 上記1.~6.は同一機種を使用した場合を示す。
- すでに手術支援ロボットを用いて独立したチームとして手術を行っている施設が、新たに別機種注1)の手術支援ロボットを用いたロボット支援手術をチームとして初めて実施する際には、その製造販売会社の教育プログラムを終了した上で、領域毎に、その手術支援ロボットにおける領域別プロクター招聘1例と手術見学1例を経験しておくこと。ただし、そのチームに従来の手術支援ロボットによる当該手術の経験が十分にあること注2)。
注1:以下の製造会社におけるロボット支援手術機器(内視鏡手術用支援機器)において、各群内の機種は同一機種とみなす。
(1)インテュイティブサージカル合同会社:da Vinciサージカルシステム、da Vinci Siサージカルシステム、daVinci Xサージカルシステム、daVinci Xiサージカルシステム
(2)インテュイティブサージカル合同会社:da Vinci SPサージカルシステム
(3)株式会社メディカロイド:hinotoriサージカルロボットシステム
(4)コヴィディエンジャパン株式会社:Hugo RASシステム
(5)リバーフィールド株式会社:Saroaサージカルシステム
注2:そのチームに手術支援ロボットの経験が十分ない場合は、現在のロボット支援手術の規定に準ずる。
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